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アップルパイ小話(まんとう)
前にアップルパイ談義してほしいみたいな事を話してたような気がするおぼろげな記憶からできた小話🍎
#カリン #アルバーン
ボルマーレに滞在中の昼下がり。カリンはギルド管轄寮の前を歩いていた。開いた窓から甘い香りがする。厨房の中をのぞくと、アルバーンがアップルパイをオーブンから取り出したところだった。
「美味しそう~! アルるんが作ったの?」
「カリン、いいタイミングだね。ちょうど焼き上がったところなんだ」
丁寧に網目状にされたパイ生地が、ジャムのお陰でツヤツヤと焼けている。見ているだけで涎が出そう。カリンの視線に、苦笑いしながらアルバーンが言う。
「手を洗った後なら、食べやすい温度になっていると思うよ」
確かに、今は外から戻ったばかり。カリンは水道を借りに流し台へ向かう。そこで驚きの光景に出くわした。
「お菓子作りの後、こんなに綺麗になっていることある!?」
「そうかな? 焼いている時間で片付けただけだよ」
「あたし、焼いてる様子をずっと見てちゃうから、最後までずっと大惨事なんだよね」
「な、なるほど……」
そんな他愛無い話をしている間にも、アルバーンが手際よくパイを切り分けていた。一切れを皿にのせる。幾層にもなった生地と、重なるリンゴが最高の断面。
ただ、カリンには見慣れないものがあった。
「これって、干しブドウ? ナッツも入ってる! それにシナモンの香りがする……!」
「うちのレシピは、その三つが欠かせないんだ」
「そうなんだ~! あたしの家だと、カスタードクリームが絶対入ってるの。アルるん家のレシピ、シナモンで大人っぽい感じ!」
自分で言っていて、採れたて卵と搾りたての牛乳で作ったあのクリームが恋しくなる。しかし目の前にあるパイも負けないくらい美味しそうだ。
手を洗い席に座る。両手を合わせたところで、最初に聞かなければいけないことを思い出した。
「今さらだけど、あたしが食べていいの? ロンロンに作ってたとかだよね?」
「え? いや、料理は俺の趣味みたいなものだから……。美味しく食べてくれる人に食べてもらえればいいよ」
「それなら、まっかせて! 幸せそうに食べることには自信があるから!」
許可をもらい、ありがたく一口目をいただく。口に含むとシナモンの香りが更に香る。いい具合の甘さに煮られたリンゴと、パイ生地の塩味がとても合う。後から甘酸っぱいアプリコットジャムが合流。そこにナッツの食感が加わり、噛むのが楽しくなる。干しブドウの後味がまた甘いものを欲しくさせた。このちょっと渋いのはアロニア好みそうだ。
「すっごく美味しい〜! ナッツが良いね!」
「そこまで喜んでもらえると作りがいあるよ。歯ごたえが面白いよね」
カリンの向かい側にアルバーンが座る。お茶も用意してくれていたみたいで、気がまわりすぎ! と言いながら受け取った。
「そうそう! うーんこれ、家族にも食べてみてほしいな。アルるん、レシピ教えて〜!」
「うん、せっかくならカリン家のレシピと交換にしてもらおうかな」
「あ、それ良いね〜! 家庭の味交換!」
「家庭の味、そう、かも……?」
「みんなも色々レシピ持ってそうだよね」
メルるんとか。レグルスはお菓子作るかな? 料理好きな仲間が頭に浮かんだ。家ごとのレシピ、みんなにも聞いてみたい。カリンはそう思いながら、最後の一口をフォークに刺した。
畳む
#カリン #アルバーン
ボルマーレに滞在中の昼下がり。カリンはギルド管轄寮の前を歩いていた。開いた窓から甘い香りがする。厨房の中をのぞくと、アルバーンがアップルパイをオーブンから取り出したところだった。
「美味しそう~! アルるんが作ったの?」
「カリン、いいタイミングだね。ちょうど焼き上がったところなんだ」
丁寧に網目状にされたパイ生地が、ジャムのお陰でツヤツヤと焼けている。見ているだけで涎が出そう。カリンの視線に、苦笑いしながらアルバーンが言う。
「手を洗った後なら、食べやすい温度になっていると思うよ」
確かに、今は外から戻ったばかり。カリンは水道を借りに流し台へ向かう。そこで驚きの光景に出くわした。
「お菓子作りの後、こんなに綺麗になっていることある!?」
「そうかな? 焼いている時間で片付けただけだよ」
「あたし、焼いてる様子をずっと見てちゃうから、最後までずっと大惨事なんだよね」
「な、なるほど……」
そんな他愛無い話をしている間にも、アルバーンが手際よくパイを切り分けていた。一切れを皿にのせる。幾層にもなった生地と、重なるリンゴが最高の断面。
ただ、カリンには見慣れないものがあった。
「これって、干しブドウ? ナッツも入ってる! それにシナモンの香りがする……!」
「うちのレシピは、その三つが欠かせないんだ」
「そうなんだ~! あたしの家だと、カスタードクリームが絶対入ってるの。アルるん家のレシピ、シナモンで大人っぽい感じ!」
自分で言っていて、採れたて卵と搾りたての牛乳で作ったあのクリームが恋しくなる。しかし目の前にあるパイも負けないくらい美味しそうだ。
手を洗い席に座る。両手を合わせたところで、最初に聞かなければいけないことを思い出した。
「今さらだけど、あたしが食べていいの? ロンロンに作ってたとかだよね?」
「え? いや、料理は俺の趣味みたいなものだから……。美味しく食べてくれる人に食べてもらえればいいよ」
「それなら、まっかせて! 幸せそうに食べることには自信があるから!」
許可をもらい、ありがたく一口目をいただく。口に含むとシナモンの香りが更に香る。いい具合の甘さに煮られたリンゴと、パイ生地の塩味がとても合う。後から甘酸っぱいアプリコットジャムが合流。そこにナッツの食感が加わり、噛むのが楽しくなる。干しブドウの後味がまた甘いものを欲しくさせた。このちょっと渋いのはアロニア好みそうだ。
「すっごく美味しい〜! ナッツが良いね!」
「そこまで喜んでもらえると作りがいあるよ。歯ごたえが面白いよね」
カリンの向かい側にアルバーンが座る。お茶も用意してくれていたみたいで、気がまわりすぎ! と言いながら受け取った。
「そうそう! うーんこれ、家族にも食べてみてほしいな。アルるん、レシピ教えて〜!」
「うん、せっかくならカリン家のレシピと交換にしてもらおうかな」
「あ、それ良いね〜! 家庭の味交換!」
「家庭の味、そう、かも……?」
「みんなも色々レシピ持ってそうだよね」
メルるんとか。レグルスはお菓子作るかな? 料理好きな仲間が頭に浮かんだ。家ごとのレシピ、みんなにも聞いてみたい。カリンはそう思いながら、最後の一口をフォークに刺した。
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今年の目標
<2025年には何か一つくらいあげないと!
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